写真素材: Gratisography
世の中にはたくさんのフリー素材が配布されています。フリー素材は、無料(フリー)で利用できますが、利用方法が自由(フリー)であるとは限りません。利用には、ライセンスによっていくつかの条件があります。
今回は、写真やデザイン素材によく利用されるクリエイティブ・コモンズ(CC)、CSSテンプレートやjQueryプラグインなどのプログラムソース、ソフトウェアによく利用されるMIT、GPLのライセンスについて紹介します。そして、よく耳にするパブリックドメインについても解説します。
主要ライセンスと利用条件の一覧
ライセンス名 | よく利用される著作物 | 商用利用 | 改変 | クレジット表示 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
CC0 | 写真・デザイン素材 | 可能 | 可能 | 不要 | |
CC BY 4.0 | 写真・デザイン素材 | 可能 | 可能 | 必要 | |
CC BY-SA 4.0 | 写真・デザイン素材 | 可能 | 可能 | 必要 | ライセンスの継承が必要 |
CC BY-ND 4.0 | 写真・デザイン素材 | 可能 | 不可 | 必要 | |
CC BY-NC 4.0 | 写真・デザイン素材 | 不可 | 可能 | 必要 | |
CC BY-NC-SA 4.0 | 写真・デザイン素材 | 不可 | 可能 | 必要 | |
CC BY-NC-ND 4.0 | 写真・デザイン素材 | 不可 | 不可 | 必要 | |
MIT | プログラムソース・ ソフトウェア |
可能 | 可能 | 必要 | |
GPL | プログラムソース・ ソフトウェア |
可能 | 可能 | 必要 | ライセンスの継承が必要 |
パブリックドメイン | 著作物全般 | 可能 | 可能 | 不要 |
クリエイティブ・コモンズ(CC)
クリエイティブ・コモンズ(CC)は、著作物全般に使うことができるライセンスです。写真やアイコン、イラスト、デザインテンプレートなど幅広く使用されています。
クリエイティブ・コモンズでは、商用利用可能かどうか、著作権表示が必要か、作品の改変を認めるかなど、複数の条件を組み合わせてライセンスを付与できるようになっています。
そのため、クリエイティブ・コモンズには複数のライセンスパターンが存在します。ここでは、よく利用されるライセンスを紹介します。
なお、2002年にリリースされてから数度の改定を行っており、現在はバージョン4.0が最新です。「CC BY 4.0」や「CC BY-SA 4.0」の「4.0」はバージョンを表しています。
CC0
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 不要
CC0は作品に関するすべての権利を放棄したライセンスです。個人・商用問わずに自由に利用でき、原作者のクレジット(作者やタイトルなど)の表示が不要で、改変・加工もできます。
「自由に使ってください。」という、最もシンプルで、使いやすいライセンスです。
CC0と表示されていれば、幅広い目的で利用できますが、「この作品はCC0です。でも…」と、追加的な条件が記載されている場合があるので、注意が必要です。「CC0だけど、この写真を素材として販売したり、写真素材サイトに掲載するのはNGだよ」とか、「ギャンブルやポルノ、非社会的なサイトに使うのはダメだよ」と書かれていることが多いです。
CC BY 4.0(表示)
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要
CC BY 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示することを条件に、商用利用、改変が可能なライセンスです。
「クレジットを表示すれば、後は自由に使っていいよ。」という、比較的自由度の高いライセンスです。
CC BY-SA 4.0(表示—継承)
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要 ※ライセンスの継承が必要
CC BY-SA 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示すること、改変した部分(自身に著作権がある部分)に元の作品と同じライセンスを継承することを条件に、商用利用可能なライセンスです。
CC BY 4.0と似ていますが、改変した部分(自身に著作権がある部分)に元の作品と同じライセンスを継承するという部分が異なります。
例えば、CC BY-SA 4.0で提供されているアイコンを加工して、新しいアイコンを作成した場合、作成したアイコンにもCC BY-SA 4.0のライセンスを付与する必要があります。
「せっかく、自由に使えるように作品を共有しているのだから、これを元に作成した作品も自由に使えるようにしてね」という、シェア意識の高いライセンスです。
一方、上記で紹介したCC BY 4.0はライセンスの継承が不要なので、作成したアイコンには自由にライセンスを設定することができます。
CC BY-ND 4.0(表示—改変禁止)
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 不可
- クレジット表示: 必要
CC BY-ND 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示すること、改変・加工を行わないことを条件に、商用利用が可能なライセンスです。
例えば、CC BY-ND 4.0の写真を使用する場合、クレジットを表示して、加工せずにそのまま利用するのはOKとなります。
「クレジットを表示して、加工せずにそのまま使うのであれば、商用で利用してもいいよ」というライセンスです。
CC BY-NC 4.0(表示—非営利)
- 商用利用: 不可
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要
CC BY-NC 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示することを条件に、非営利での利用が可能なライセンスです。改変・加工はできますが、商用利用は不可です。CC BY 4.0の非営利バージョンです。
「非営利で、クレジットを表示すれば、後は自由に使っていいよ」という、商用利用を禁止したライセンスです。
CC BY-NC-SA 4.0(表示—非営利—継承)
- 商用利用: 不可
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要※ライセンスの継承が必要
CC BY-NC-SA 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示すること、改変した部分(自身に著作権がある部分)に元の作品と同じライセンスを継承することを条件に、非営利での利用が可能なライセンスです。CC BY-SA 4.0の非営利バージョンです。
「非営利で、クレジットを表示すれば使っていいけど、新しい作品にも同じライセンスを付与してね」というライセンスです。
CC BY-NC-ND 4.0(表示—非営利—改変禁止)
- 商用利用: 不可
- 改変・加工: 不可
- クレジット表示: 必要
CC BY-NC-ND 4.0は原作者のクレジット(作者やタイトルなど)を表示すること、改変・加工を行わないことを条件に、非営利での利用が可能なライセンスです。CC BY-ND 4.0の非営利バージョンです。
「非営利で、クレジットを表示して、加工せずにそのままであれば使っていいよ」というライセンスです。
MIT
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要
MITはCSSテンプレートやjQueryプラグインなどのプログラムソース、ソフトウェアによく利用されるライセンスです。著作権表示を保持することを条件に、商用利用、改変が可能なライセンスです。
よく、プログラムソースの先頭などに、クレジット(作者やタイトルなど)が表示されいる部分がありますが、その部分はそのまま残しておく必要があります。他の部分は、自由に改変することができます。
「クレジット表示の部分をそのまま残してくれれば、後は自由に改変して使っていいよ」というライセンスです。業務でも使いやすいです。
GPL(GNU General Public License)
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 必要※ライセンスの継承が必要
GPLはCSSテンプレートやjQueryプラグインなどのプログラムソース、ソフトウェアによく利用されるライセンスです。著作権表示を保持すること、元の作品と同じライセンスを継承することを条件に、商用利用、改変が可能なライセンスです。
MITと異なるのは、GPLライセンスが付与されたソース、ソフトウェアを使用した場合、新たに作成したソース、ソフトウェアにもGPLライセンスを付与する必要がある点です。これは、ごく一部、例えば100万行のプログラムのたった1行にGPLライセンスのソースを使用した場合であっても適用されます。
「クレジット表示の部分をそのまま残してくれれば使っていいけど、新しい作品にもGPLライセンスを付与してね」というライセンスです。業務では使いにくいです。
パブリックドメイン
- 商用利用: 可能
- 改変・加工: 可能
- クレジット表示: 不要
パブリックドメインは、ライセンスではなく、作品に著作権が無い状態のことの総称です。著作権の保護期間を過ぎた著作物や、著作権者が作品に関するすべての権利を放棄した著作物について使用されます。
パブリックドメインの写真や作品を集めた素材サイトがありますが、パブリックドメインと表示されいる作品でも、実際には著作権が残っているケースがあるので、注意が必要です。
例えば、著作権の保護期間は国によって異なるので、ある国では著作権が切れていて「この作品はパブリックドメインです。」と公開されているものが、別の国では著作権保護期間がまだ残っているということがあります。他にも、著作権は切れていても、商標登録をして保護している場合もあります。
まとめ
今回は、よく利用されるクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC)、MITライセンス、GPLライセンス、パブリックドメインについて紹介しました。
各ライセンスの違いを把握して、きちんと利用する作品のライセンスを確認しておきましょう。ライセンス状態が不明なもの、微妙なものについては、利用にリスクが伴うので、必ず確認を取りましょう。